お金持ちと時間持ち
ある日起きたら11時だった。空が綺麗だったから、
もう一回寝た。
目が覚めたら、3時だった。
波の音を聞きたくて浜辺に出た。ほっぺたをやさしく海風がなでていく。気持ちいい。
ゆっくりゆっくり裸足には少し痛い砂浜を、海を横目に歩いて、歩いて歩いて、歩いた。
夕焼けが見たくなった。
浜辺に腰掛けた。砂は太陽の熱で暖かい。
遠くの水平線を見つめていると、太陽の周りの空が少しずつ赤みを帯びてきて、薄紫からピンクになった。
一瞬一瞬は何も変わらぬ様子でいて、ふと目をそらしているといつのまにか太陽が水平線ぎりぎりの雲をゴールドに染めていた。
夕日がすっかり海の向こうに沈むまで、見送ってあげた。
今日の私はお金持ちならぬ時間持ち。
優先順位とか、効率とか、迅速とは縁遠い世界に住んでるの。
どれが一番か決めなくっても、やりたいことは全部できる。
手際よくなくっても叱られない。回り道も大歓迎。
時間を贅沢に使うのって、気持ちいいね。