イルカの秘密

rika-kou2004-06-29

女友達と2人で沖縄に行ってみた。


夕食時、学生時代の友人が営んでいる多国籍料理屋さんに立ち寄った。


エジプトのファーニチュアに囲まれる、間接照明の似合う店内。
木のぬくもりの心地よい椅子に座って
私達はトロピカルな花が浮かぶカクテルを飲んでいた。


しばらくして、日によく焼けた健康的なかわいらしい女性が、傍に腰掛けた。
とっても感じがいい人だったから、お互いに自己紹介をしながら
すぐに私達2人はうちとけた。


彼女の名前はナホコさん。那覇のホテルのビーチで
イルカの調教師をしているんだって。


「イルカに癒されるというけどね、あれ、嘘だよ。」


彼女の笑顔の傍から漏れた一言がぐっさり私の心にささった。


「確かにそばにいると元気になるって言う人は多いし、
イルカとふれあえてよかったって帰っていく人を否定するつもりはないよ。私もイルカたちのそばに居たいし。でも、この子たちを見て涙流す人とか、イルカは神だとかいう人達には、そうじゃないよって、言いたい。」


ナホコさんはさらに言葉を重ねた。


「イルカ達にそんな力はない。サルや、象や、他の動物達と一緒だよ。イルカだけ特別な生き物じゃない。変わらないよ。自閉症の子を持つお母さんたちの中にも、イルカ達に触ると、病気が治ると信じて子供を連れてくる人がいるけれど。自閉症の子たちは普段と違う事をひどく嫌うから、普段見慣れないイルカたちに無理やり触らせようとする事で、返って病気を悪化させてしまう事もあるんだよ。」


藁をもつかみたい気持ちもわかると添えた後、ナホコさんは最後に
ゆっくりと続けた。


「イルカに触って病気が治る、元気になるという人がいるとすれば、病気を治す力というのは、実はイルカにではなく、イルカに触る私達のほうにあるんだと思う」


彼女の言う事が、何となく分かるような、分からないような気がした。
今までは、サルの絵を描いてもそんなに元気にならないけど、イルカの絵を描くと、元気になっていた私。この気持ちの違いは、描く対象が違うせいと信じてた。

。..・’・。★。。..・’・☆。..・’・。★。。..・’・☆。..・’・。


次の日、彼女の好意で、彼女が勤めるホテルにお邪魔して、
確かめてみた。


イルカたち見てると自然と笑顔が溢れてきた。私の元気になりたいという気持ちがそうさせるのか、イルカたちが引き出してくれたものなのか、それでもやっぱり分かるような、分からないような気がしていた。