中間色

そら

パステル調の色が似合うね」と友人たちからよく言われる。
実際カラーセラピーなる先生に、自分の肌色、持っている雰囲気などから診断してもらったところ、
原色や、渋めのカーキ、茶色よりも、ピンクや水色、若草色といった色調が似合う顔立ちなのだという。

パステル調」。 辞書で引くと、「色調が柔らかく、明るく澄んだ感じの中間色」とある。
「中間色」とは“純色”(単色光の持つ色)に“灰色”を混ぜた色のこと。


「中間色」の成り立ち方を読んでいて、複雑な気持ちになった。
「純色」に「灰色」をまぜると「中間色」になる。たとえば、私自身のバックグラウンドに置き換えてみたらどうだろう。私は日本人と中国人の混血だが、中国人に日本人が混じったのか、日本人に中国人が混じったのか。どちらが「純色」でどちらが「灰色」なんだろうか。

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北朝鮮と中国の国境、吉林省に、朝鮮民族が大半をしめる延辺朝鮮族自治区と呼ばれる地域がある。店の看板にはハングル表記と漢字とが併記される町。朝鮮族との摩擦を気遣ってか、ハングル表記が上、中国語が下になっている。
ここでは国境を隔てた北朝鮮からの脱出者が絶えず、その数、年に10万、20万にも上るという。食糧難、生活難がその主因だそうだ。彼らに対し、以前は取締りが厳しかった。捕えると鎖骨や肩の骨に鎖を通し送り返すこともあったそうだ。しかし、最近では、こうした取締りをゆるめ、物資を援助することを黙認することも少なくないという。その昔、文化大革命のころは、中国側が極端に貧しく、北朝鮮にでかけてはとうもろこしなどをもらったことを忘れていないからだそうだ。

この話を聞いて、もう一度、自分自身を振り返った。
中国側にいる朝鮮族と、北朝鮮に住む人々。どちらが助ける側になるか、どちらが助けを求める側になるのかは、その時々の状況によって変わる。
同じように、どちらが「純色」でどちらが「灰色」などと考えること自体ナンセンスなのではないか。
それよりも、純色と、灰色がまじったパステル調が、「柔らかく、明るく澄んだ感じ」を醸しだすことを素直に喜ぶべきではないか。調和できずに対立してしまう場合もあることに気づくべきではないのか。

今日も連日の北朝鮮からの脱出者のニュースを見ながら、会社にいく服を選んでいる。